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    毎日新聞朝刊「核心 世界化する欧州危機」(2011年11月28日)

    共同通信配信で以下をはじめ各紙に掲載された拙稿です。
    「核心 世界化する欧州危機 -盛り上がらぬ国際的協調」(毎日新聞朝刊、2011年11月28日)
    「世界化する欧州危機 -傍観の余裕ない主要国」(北海道新聞朝刊、2011年12月9日)(共同通信配信)


     ユーロ危機は着実に深まってきている。対岸の火は、回り回って日本の地方に
    も波及する。グローバル化という現象は、好む好まざるにかかわらず、そういう
    ことを意味するのだ。
     ギリシャの国家的な虚偽会計に端を発したユーロ危機は、スペインやイタリア
    をも火に包んだ。これらの国では政権が交代したが、事態は一向に改善しない。
    それは、問題が構造的であることを示唆している。
     これからどうなるかは、本当のところは誰にも分からない。しかし、やがてフ
    ランス国債の格付けが切下げられれば、フランスの支援国としての立場が怪しく
    なり、ギリシャ等への支援策、危機への解決策として提示された欧州金融安定基
    金は立ち行かなくなる。というのも、その基金は最上級のフランス国債格付けと
    それゆえの低い金利を前提としたメカニズムであり、高い金利を払うとなればそ
    の根本が揺らぐからである。
     いきおいドイツに衆目が集まる。しかし欧州最強の経済大国であるドイツです
    ら、独力ではユーロ圏全体を救済できない。自国の国債格付けが切り下がるリス
    クを背負う気もない。他方、国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行の腰も重い。
    前者は多国間にまたがる機関で協議に時間がかかり、後者はインフレ退治に目が
    行きがちで財政的支援には向かない。こうして、ギリシャなどを切り離し、ユー
    ロ圏を縮小再編する過激なシナリオが現実味を帯びてくる。
     悲観的シナリオが優勢になる根本的原因は、成長戦略が描けないことにある。
    南欧諸国の多くは競争力が欠如し、このまま緊縮財政を貫徹しても経済を引っ張
    る成長セクターが伸びていかない。
     何年たっても経済が好転しないと分かれば、どの国民もついていかない。政治
    は不安定になる。そうすると借金返済の持続性が疑われ、国債への信任がますま
    すなくなるという悪循環に陥る。
     EUは金融監督を強化し、その意味で危機の中でも統合は続いている。それに
    より、銀行の財務体質を強化し、国債危機が銀行危機へと本格的に波及するのを
    防ごうとしている。けれども、これがマクロ経済的に正しい結果をもたらすかど
    うかは不明だ。ただでさえ、ギリシャなどへの借金の棒引きで経営が苦しい中、
    さらに銀行が自己資本比率を増やし、財務を改善しなければならないとすると、
    当然に貸し渋りになるからである。
     近年のアジアの成長を支えた要因には、中国からEUへの輸出増やEU銀行団
    のアジアへの貸し付け増がある。欧州内の貸し渋りは中国からの輸出を鈍化させ、
    欧州外への貸し渋りはアジアでの生産の鈍化を招くに違いない。
     中国をはじめとするアジアの成長鈍化は、やがて部品のやりとりなどでもうけ
    ている日本の町工場にも影響するだろう。
     相互依存の進んだグローバル化時代に、一国で防火壁を張り巡らせることには
    限界がある。必要なのは国際的な政策協調による火消しだ。にもかかわらず、日
    米欧ともに内向きであり、協調の機運は盛り上がらない。中国などの新興国はま
    だ発展途上で力不足なのが実情だ。
     岐路にいるのは欧州だけでなく、日本を含めた世界経済そのものなのである。
    対岸の火事として、傍観を決め込む余裕はない。
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    遠藤 乾

    遠藤 乾 (えんどう けん)

    北海道大学法学部、法学研究科、公共政策大学院教授(国際政治)

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