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    北大法学部講義「国際政治」の優秀答案(2015年秋学期)

    北大法学部講義「国際政治」の優秀答案は、

    法[総合法政] 種田 圭佑  氏
    法[総合法政] 塚本 紘生 氏
    法[総合法政] 今井 駿司 氏
    (次点 法[法専門職] 赤間 勝太 氏)

    ここに表彰します。

    それにしても、教養の授業に引き続き、法学部学生の答案の出来が悪く、平均は文学部の学生のほうが上であった。心配になります。


    はじめての国際政治学(北大入門講義、トップ答案表彰)

    2015年後期北大1年生向け講義「はじめての国際政治学」

     受講生のなかで、断トツで優秀な答案は、

       法学部 竹谷瑞季 さん

    のものでした。ここに表彰します。
     例年に比べ、法学部の他の学生の答案は低調で、割と質のよかった文学部の学生の答案と好対照でしたが。。。

    2015年の業績を振り返って

    2015年も終しまい。今年は研究業績より、テロ・難民・ユーロといった欧州激動に合わせた出演や寄稿ばかりという気が主観的にしてたけど、学術的には6年越しの「岩波シリーズ日本の安全保障」が完結したことをもって佳しとしよう。全8巻約100論文のテーマ=目次設定、編者や執筆者との討議などを通じて、おおいに勉強になった。それと、発表等は記載しないけれども、日韓・日中・日台・日欧関係を含め、海外出張は10数回を数え、特に基本条約50周年の日韓関係の国際会議が多かった年であった。来年は少し思索と執筆に時間を回したいものである。

    ●2015年
    ○編著
    『グローバル・コモンズ』(日本の安全保障シリーズ第8巻)岩波書店
      (吉岡桂子・朝日新聞書評委員が薦める「今年の3点」(2015年12月27日)に選んでいただきました)

    ○共同編集代表(日本の安全保障シリーズ全8巻)岩波書店
    第2巻 日米安保と自衛隊(遠藤誠治編)
    第3巻 立憲的ダイナミズム(水島朝穂編)
    第4巻 沖縄が問う日本の安全保障(島袋純・阿部浩己編)
    第5巻 チャイナ・リスク(川島真編)
    第6巻 朝鮮半島と東アジア(木宮正史編)
    第7巻 技術・環境・エネルギーの連動リスク(鈴木一人編)

    ○雑誌等
    「[座談会(岩下明裕・遠藤乾・川島真・林忠行・福田宏)]地域と地域の間を読み解くために」『地域研究』16巻1号、2015年
    'The difficulty of realizing pan-European fiscal democracy.' MyVision, No.16 2015.12
    ヨーロッパ大の財政民主主義の難しさ」『わたしの構想(特集:EUは強靭か)」NIRA、2015年10月
    「経済教室:試練続く欧州(上) 統合と分断が同時進行」『日本経済新聞』2015/10/7朝刊
      (日経「経済論壇から」(2015/10/25)で土居丈朗氏に取り上げていただきました)
    「危機を生きる ─ ギリシャの国民投票後のEU」『學士會会報』No.914、2015年9月、26-33頁。
    「財政統合なき共同体の困難」『中央公論』129(9)号、2015年9月、208-211頁。
      (朝日新聞、論壇委員が選ぶ今月の3点(2015年8月27日)で井手英策氏に選んでいただきました)
    「EUの歴史と将来―ヨーロッパはどこに向かうのか」『国際問題』641号、2015年5月、5-15頁。
    「統合と分断の同時深化こそ欧州の「新常態」」 (ギリシャ対EU特集)『中央公論』129(4)号、2015年4月、144-151頁。
    「経済教室:激動ユーロ(下) 統合と分断、絡み合う力学」『日本経済新聞』2015/2/3朝刊
      (北尾吉孝氏のブログで取り上げていただきました)

    ○連載
    「私の3点」『読売新聞』(朝刊文化面):2015年12月7日(今年のベスト3点)、10月26日、7月27日、5月4日。
    「時論フォーラム」『毎日新聞』(朝刊文化面、※は大型):
      12月24日:年末回顧座談会(※)
      11月26日:TPP―賛否を超えて向き合え(※)
      10月22日:歴史認識―余計なあがきは無用
      9月24日:シリア難民―日本も受け入れを
      8月27日:戦後70年首相談話―リベラルな日本を問う(※)
      7月23日:世界文化遺産―過去と決別した日本に
      6月25日:安保法制と学界―問題は違憲VS抑止?
      5月28日:安全保障法制―脅しと安心の配分は?(※)
      4月23日:テロ、日韓関係―立ち止まって熟慮を 

    ○新聞等
    「安保法から3か月 識者に聞く―旧来型の議論を続けるな」『北海道新聞』2015年12月22日朝刊
    難民、テロ、ポピュリズム─正念場となる欧州─国境協定見直しが焦点に」Janet・e-World【特集・2016年展望I・欧州】、12月22日
    「書評:マーク・マゾワー『国際協調の先駆者たち』―「世界」形成の理念と系譜問う」『日本経済新聞』2015年8月2日
    「(耕論)ギリシャ危機と欧州 竹森俊平さん、遠藤乾さん」『朝日新聞』2015年7月2日
    Balancing threats and reassurances for effective national security The Mainichi, June 23, 2015
    「[Europe/interview] 遠藤 乾氏に聞く 争点となるEU移動の自由原則 ユーロは実質機能強化へ」」e-World Premium 2015年6月号
    「「【Interview】遠藤 乾氏に聞く 近隣国との長期的な関係構築を」Janet・e-World、2015/05/22
    「安倍首相:米議会演説 識者に聞く」『毎日新聞』2015年5月1日朝刊
    「戦後70年歴史と語る―欧州統合 したたかな和解」『北海道新聞』2015年3月13日朝刊

    ○出演等
    NHK-BS1キャッチ!世界の視点「難民・テロ ヨーロッパはどこへ」2015年12月25日
    TBSラジオ荻上チキのSession22「高橋和夫×小泉悠×遠藤乾×荻上チキ:仏国の緊急事態をめぐる米露欧の思惑、そしてシリアの今後は?」荻原チキのセッション22、2015年11月19日
    FM東京タイムラインFOCUS「対IS空爆」2015年11月18日
    NHK-BS1グローバル・ディベートWISDOM「混迷ギリシャ 世界はどう動く」2015年7月26日
    TBSラジオ荻上チキのSession22「遠藤 乾×渡部恒雄×荻上チキ:安保法案、国際政治の観点から必要な論点とは?」2015.07.27
    TBSラジオ荻上チキのSession22「高橋源一郎×片山杜秀×東浩紀×遠藤乾×荻上チキ:安保法案、民主主義のあり方、参議院で必要な議論とは?」2015.07.16
    NHK総合日曜討論「世界が注視 どうなるギリシャ情勢」2015年7月5日
    TBSラジオ荻上チキのSession22「竹森俊平×遠藤 乾×荻上チキ :ギリシャが事実上のデフォルト」2015.07.01
    NHK-BS1グローバル・ディベートWISDOM「欧州激動 EU統合の行方は」 4月26日→そのスクリプト
    テレビ朝日報道ステーション「メルケル訪日」2015年3月9日
    TBSラジオ荻上チキのSession22「遠藤 乾×荻上チキ:日独首脳会談」2015.03.09
    NHK総合週刊ニュース深読み「広がる不安・深まる対立...どうなる?EU 」2015年2月21日
    「遠藤乾のフライデースピーカーズ」三角山FM放送局
      10月30日:国連イラン制裁パネル(鈴木一人氏との対談)
      8月28日:戦後70年安倍首相談話
      6月26日:グローバル化時代の安全保障
      4月24日:日韓関係―講演ツアーを終えて
      2月27日:日中関係について(帰泳濤氏との対談)
    北海道放送(HBC)ラジオ「夕刊おがわ」

    「初めての国際政治学―国家、EU、ユーロ」受講生へ

    「初めての国際政治―国家、EU、ユーロ」受講生の皆さん

    お知らせ!
    休講は26日です。19日は平常どおり講義しますので、ご留意下さい


    授業で使う資料は以下でダウンロード可能です。
    以下のサイトに行き、授業中提示するパスワードで
    開けてみてください。

    http://endoken.blog.fc2.com/blog-entry-92.html

    『週刊読書人』(2014年12月5日号)における水島朝穂さんとの対談余話

     『週刊読書人』という媒体に初めて登壇しました。ちょうど読んでいた『壽屋のコピーライター』という本で開高健がむかしこれに寄稿していたことを知り、半世紀前(1958年)創刊の歴史と伝統を感じます。
     今回(2014年12月5日号)は、原稿を書いて寄稿したのではなく、水島朝穂さんとの対談を起こしたものとなりました。趣旨は、岩波書店から8巻の<日本の安全保障>シリーズ(http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/028751+/top.html)が刊行され始めたことを期に、それがどの様な方向性を打ち出しているのか、編集委員の一人であり、憲法学の専門で軍事にも詳しい水島氏とのやり取りの中で、ふくらみを持った形で提示したいと考えたことによります。
     それが主たる趣旨なのですが、他方で同じ媒体で去る8月15日を前にして、古くからの(かなり親しい)友人である苅部直氏と細谷雄一氏が対談し、集団的自衛権に対する反対派への批判や、それと重なる形で一国平和主義への批判が展開されたこともあり、なんと「12月8日(!)を前に日本の安全保障を考える」という副題となり、その対談への応答的な性格を帯びることになりました。
     内容的には現物を読んでいただけるのが一番ですが、本シリーズの問題意識を、I.国家/人間中心の安全保障観、II.威嚇(=抑止)/安心供与の安全保障観の対立軸の中で、それぞれ後者に軸足を置くことを明らかにし、それを議論の中でさらに実質化したうえで、憲法9条と安保体制との関係、自衛隊や自衛権の位置づけ(含む憲法的承認)について、かなりオープンに議論しています。
     ほんのさわりだけやると、I.では、人間中心の安全保障を、①内省性、②人道性、③多様性の3点に分けて具体化していて、それぞれ、人間本位に見たとき、沖縄・福島など日本内部に存在する脅威に目を向け、手段や手続において人道的であることを求め(後述)、また多岐にわたるリスクをひとつひとつ取り上げていく必要性を説いています。II. では、「やったらひどい目にあわすぞ」という威嚇=抑止ばかりが強調される現政権の流れに対し、「(もう)ひどいことはしません」という安心供与の側面が、本来的には安全保障論の中にあるはずなのに、忘れられているという点を明らかにしています。
     自民党のなかにも、小渕・福田政権のように、対人地雷やクラスター爆弾の禁止条約にコミットし、それにより人間中心の安全保障に資する日本をきちんと演じたときもあるのですが、そうした流れは安倍政権のもとでは傍流に追いやられて、国家中心の軍事安全保障ばかりが前景に躍り出ています。ちなみに、それについて触れた部分で、ゲラ段階で見落としていた箇所があり、対人地雷やクラスター爆弾の処理のために自衛隊を派遣することにコミットしたことになっていて、現物の原稿を読んだとき火を噴くように恥ずかしかったのですが、これはもちろん間違いで、自衛隊をそのために派遣することに両政権がコミットしたのではありません。ここでお詫びして訂正します。がともあれ、言いたかったのは、いわゆる「保守」政権のなかにもI. への志向性が実際にあったということであり、曲がりなりにも9条を維持し、軽武装と専守防衛に徹し、数々の政権が謝罪を積み重ねてきた(つまりII. にあたることを実行してきた)ことと併せて、I. やII. は私の夢想ではなく、げんに日本に根づいてきた実践であり、理念であったということでした。
     なお、行論のなかで、以前から気になっていた一国平和主義批判について触れています。というのも、その批判において、日本の平和主義者は、日本のことさえよければあとはどうでもよい、という身勝手な人たちであるという決めつけがなされているように感じていたからです。
     私自身、1990年代以降、人道的介入(humanitarian intervention)論には、共感も感じ、悩んでもきました。まるでユーゴやコソボへの介入がまるごと邪悪であるといった論じ方をする論壇の花形の政治学者と私的な場でやりあったこともあります。他国でひどい人権抑圧に遭い苦しんでいる人たちを何もせずに傍観していてよいのか、介入する場合にはどんな条件や手段のもとで許されるのか、イグナティエフやウォルツァーなどを読み、考えてきました。
     魔法のような解はありません。人権で整理すれば、一人一人のそれは平等に守られねばなりませんので、どこであれ、だれであれ、抑圧に立ち向かう必要があります。しかし、主権国家システムで覆われている世界においては、助ける相手の人権は平等でも、助ける主体の側のリスクやコストは平等に配分されないという問題があります。なぜ抑圧されているAを助けなければならないのか、という問題に答えられても、なぜCでなくBが助けなければならないのか、という問いになかなか答えられないのです。
     そのBにどうして日本がなれないのか、という問いには意味はあると思います。そして、平和主義に奉じる多くの人たちは、実際にはそれを問うてきたのだと思います。その問いに答えようとする中で、日本が得意とする手段――たとえば途上国の経済社会的な厚生の向上であったり、紛争国の秩序の再建のアシストであったり――によって、助けるという作業をできないか問うてきた人は大勢います。伊勢崎賢治氏はその一人でしょうし、またペシャワール会の中村哲医師などはそれを実践してきた9条擁護者ではないでしょうか。
     そういう人たちが考えてきたのは、目的においてだけでなく手段においても、人道的であるような支援です。そのような外からの平和的な「介入」の在り方を、「一国的」と切り捨ててよいのでしょうか。
     あるいは、ややこなれない言い方ですが、介入する際の手続において人道的であることも大事なのではないでしょうか。つまり、本当に考えうる他の手段が尽きたのち、軍事的な手段がどうしても必要とされる場合があることを私自身は認めなければならないと考える方なのですが、その場合でも、どんなに欠陥だらけの組織ではあれ、国連のような普遍的国際組織が承認できるような形で介入するという構えをとっておくことに意味はないのでしょうか。2003年、アメリカによるイラクへの侵攻が国連安保理の後ろ盾を欠いた中でなされた過程を振り返れば、国連が正統化・非正統化の回路として、世界中の人々の前で一定の機能を果たしていることが見てとれたのではないでしょうか。
     こうしたぎりぎりの正統化の末に限定的に軍事的手段をもって人道的介入を認める平和主義者の論考の結晶は、たとえば最上敏樹氏の著作『人道的介入』(岩波書店)に見出しうるのではないでしょうか。
     つまり、こういう思考の系譜を「一国平和主義批判」をするひとは、知らないか、知らないふりをし、意図的に無視しているのです。
     加えて、そのような一国主義批判をする人たちの方が、一国主義的である可能性があります。というのも、日本のように核兵器ですら持つ能力のある大国がみずから軍事的抑制をすることには、一国を超えた地域・世界的な影響力があるからです。そうした政策選択を「一国」平和主義と塗り固めた途端に、その含意の広がりをまるで捨象してしまっていて、じつは批判派の方が一国主義的な思考に陥っているのではなかろうか。
     このほかにも、かつて展開した9条=安保体制について(「日本の安全保障(雑感):9条―安保、軽武装―和解、中国―沖縄」)の国民的支持や、憲法学において漸進的に防衛(軍)や同盟を認めうる道筋についても触れています。
     ご関心の向きは手に取ってみてください。

    Profile

    遠藤 乾

    遠藤 乾 (えんどう けん)

    北海道大学法学部、法学研究科、公共政策大学院教授(国際政治)

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